ちょっとコワイ話

今週のお題「ちょっとコワい話」

 

お題に便乗してみる。

 

  これは、去年の夏頃の話だ。

  私の家の近くには、ちょっと小洒落た感じのケーキ屋がある。

  長い夏の日もかげる頃、私は出掛けたついでに少し店を覗いてみたのだ。

  店に入ると、ひやっ、と、冷気を感じた。

      (冷房が強すぎるのだ)

  店頭には白くて冷たそうなフワッ、としたものが並んでいる。

      (言うまでもなくケーキだ)

  店の奥に入ると、商品台があった。

  そこには商品が……(当たり前)

  どうやら、消費期限の近い商品を値引きしてまとめて置いてあるみたいだ。

  で、見てみると、「20」とか「30」とか貼ってある。

  安い!私は思った。なんたって、普段500円くらいの商品が、20円や30円といった駄菓子感覚の大特価で買えるのだ。消費期限は今日中だけど、甘いものは好きだし、夜に食べれば何ら問題は無い。確かに、店としても今日中に売れなければ廃棄処分になってしまうし、安くしてでも売ってしまいたいのだろう。

  私は欲張って、商品を4つほど持ってレジに向かったのだった。(4つ買ったって100円前後だ)

 

  で、ここまでは良かった。このあとがほんと怖い。

 

        (ピッ、ピッ…)

店:「こちら、4点のお買い上げですね」

私:「はい」(財布から100円を取り出す)

店:「1800円です」

私:「………へ?」

店:「1800円です」

 

  このとき、私は察した。

    あの、「20」とか「30」とかいう数字……

      商品の価格ではなくて

        値引き金額だったのだ……(まじかよ)

 

  しかし、レジまで来てしまった手前、引き返すのは気が引ける。ということで、払った。1800円。

 

  そのケーキ屋は、今も同じような価格表示をしているという……わたしは、私以外の被害者が出ていないことを祈るばかりだ。